※画像はありませんがグロ注意です
子供の時、チャリンコに乗ってて溝にハマり盛大にコケたことがある。
そのとき、元気なクソガキだった私は、「たかが擦り傷よ」程度で事を忘れ去ったが、その時以降、私の右膝にはなにか塊のような、多分石っぽいものが入り込んでいた。
そいつが今、姿を現した。
27年間にわたる付き合いだった。別に痛くはなかった。たまに硬いものに膝をぶつけた時は流石に痛かった。
膝にゴリゴリしたものがあった。それだけだった。気にはなった。しかし自分の身体なので、分からなくはない。こいつは薄皮一枚の下ではなく、もうちょっと中にいる。出そうと思ったら、それ相応の覚悟が必要だった。
だから私は、この時点では共存を選んだのだ。
あれから27年、歳をとった私の膝もだいぶ弱ったのか、膝の膨らみが腫れる時があった。
膿が溜まっていたのだ。ある時そいつは噴き出した。すごかった。血ではない不透明な体液がダバダバ出てきた。大体それは出し切ったら止まって、しばらくすると傷が塞がっていった。
とはいえ、何度も同じ事があると、傷は広がっていく。
そしてある日、傷の中から出てきたのだ。明らかに人体の組織とは違う感触の、何かが…。
毛抜きで転がしてみたら、そいつはついに角度を変え、外の世界に出てきた。膝には直径5mm、深さ7mmくらいの空洞があった。
ついにご対面と一瞬興奮したが、まあ……どう見ても……ただの石だった。カルシウムの塊とか、もっとこう生物学的なものを期待していたのだが、これは疑いようもなく石だ。
私はその石を机の上にそっと置いて、傷口に絆創膏を貼った。
ただの石なんだが、こいつとは27年間、寝食?を共にし、誰よりも近くで生きてきた。親兄弟よりも、恋人よりも、推しよりも長い付き合いだと思うと、なんとなく捨てるにはしのびない。
27年目にして、我々は別々に生きていくことを選んだ。本当に長い付き合いだった。でも特に一緒にいて楽しい思い出とかはない。
わりと邪魔だった。
その昔、若かった頃、ピアスの裏側が腫れて肉芽腫ができた事があって、直径1cm以上のサイズまで育って耳たぶからぶら下がっていたことがある。
それを取る手術をした時、医者のおねえさんに「取れたよ!捨てていい?」と聞かれて、持ち帰っても仕方ないとわかっていながらちょっと寂しかったことがあった。
今、あの時と似たような気持ちだ。
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これは報告の記事なので、特にオチとかはなく、まあそういうことがありました!以上!という流れで終わることとする。
石どうしよう。コレクション用のケース買って飾っておくか……
あとめっちゃ感動的なんですけどジーパンとかに膝圧迫されても痛くない。解放感がヤバイ。
現場からは以上です。