今考えてます

長い文章が書きたくなった時用

初めて家事代行を呼んだ

これは家事ができない一人暮らし独身女性が、文明の生んだ「家事代行サービス」というものを利用した時のレポートと感想です。

なんら具体的な参考にはなりませんが、誰かの人生の引き出しの一つになればと思って書きました。


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私は家事ができない。

全くできないのかというと、一人暮らしなのでそんなことはないはずなのだが、多分

料理 ★★★☆☆

洗濯 ★★☆☆☆

掃除 ☆☆☆☆☆

みたいなステータスだ。掃除機のゴミ袋も変えられず(それは前に私が部屋でカメムシに遭遇したときに気が動転して掃除機で吸ってしまったからだが……)、水回りの掃除もできない。

とにかく「手が汚れる」行為が全般的に無理で、飲食のバイト、絶対やりたくない。手袋あっても絶対無理。

でも住んでいたら汚れないわけがなくて、掃除をしないと「住むのも無理……」となってしまう可能性がある。それはまずい。

私が掃除という一点においてどのくらいポンコツかというと、「私の留守の間に、両親が勝手に乗り込んで掃除だけして帰っていく」くらいヤバい。恥を知れ。はい。わかってます!!!私は家の掃除もろくにできない無能な豚です!!!!

自覚はある。あっても……どうにもならないのだ……


…という中で、緊急事態宣言が出た。

人生クソイージーモード(幸運A)の私は晴れて「在宅勤務」となったのである。1ヶ月間の篭城、つまり、掃除しないと加速する家の汚さ…。これはもう手段を選んでいる場合ではない!

そんな時、私はインターネットで探し物をしているときに読んだブロガーの記事を思い出した。


「家事代行」


ご飯の作り置きを頼むと便利、というもので、ご飯は作れるけど偏食多過ぎてな……と思い読み飛ばしたが、あれ、たしか掃除代行なんてのもあったはずだ。

ググった。いくつか出てきたので全部読んだ。そして「お試しプラン」なるものがあることを知り、会員登録をした。


お試しプランの申込はあっさり終わった。2時間で4700円(交通費込)だ。

申し込んだはよいものの、そこからの罪悪感がすごい。こんなはした金でそんな大それたことを頼んでよかったんだろうか?

この家、デフォルトがそんなに綺麗な家ではない。築ウン十年、1Fというのもあって夏場は昆虫のドライブスルーである。ツイッターにも時々書くが、足が多かったりなかったりするご来賓も少なくない。そこに「掃除ができない人間」が住んでいるのだ…。

4700円から交通費、消費税を引いたら3600円ほどであり、業者がこの中から幾らかを取り分、保険料などに充てるとすると、スタッフの取り分は実に1500円前後、もしくはそれ以下とならないだろうか。いいのか?こんなことをそんな安い金で…。押し寄せる罪悪感。もう少し握らせたい気持ちがすごい。

次を依頼することがあったら、依頼料等々をよく考慮して、或いはもう少しハイペースに依頼をしようと思った。

家事代行のサイトでは事前にチャットで相談が可能なので、先に現場の画像だけ送付しておいた。何も知らずにこの地獄に放り込まれるよりはマシではないかという気持ちだが、この行為で来てくださるスタッフの彼女が救われるかと言えば微塵も救われないと思う。

とにかく粗相がないように、事前に必要な物を調べ上げ、このご時世に100均やドラッグストア、スーパーを渡り歩いた。要で急である。家の掃除を他人に頼むにあたって、ろくに掃除をしない人間の備蓄では心許なさすぎる。

贖罪の気持ちを込め、リンレイのスーパーハードクリーナー(バス用)を購入した。

これだけ買い物をしたにもかかわらず、こいつはスタッフさんが来る30分前に買い物に走った。家で水しか飲まない暮らしをしていたので、お出しする飲み物がなかったのだ。大慌てで麦茶を1本買った。


そして今、正確にはこれを書く45分ほど前に、彼女は家にやってきた。

私はびっくりした。まだうら若い、華奢で美しいお嬢さんであった。申し訳なさが加速していく。

彼女が来る少し前に部屋をあさり、100均のプレゼントバッグを発掘した。中に出来るだけ賞味期限のあるお菓子と、在宅勤務になってからそれ程使わなくなった個包装のマスクを入れた。あとミニ便箋でお礼の手紙を書いた。本当は現金を入れたかった。念のため違反にならないかサイトを隅々まで読んだが、そういう規定はなかった。でも大体この手の仕事ではNGであることが多いと踏み、今回は見送りとした。

2時間の間でやれるだけ、という説明だったので、お風呂優先、他は時間が余ったらで大丈夫と伝えた。キッチンなんかは結局使うので片付けくらいはまあするし、何より「水回りが致命的」という自覚があったからであった。

何か足りなかったら言ってください、飲み物もあります、とお伝えした。最悪スーパーまで走る。覚悟は出来ている。


結果、概ね想定通り(風呂掃除に2時間)となっている。ごめんなさい……大変でしょう……本当にごめんなさい……。神よ……愚かな人間をどうかお許しください……

風呂場のドアが閉められている。当たり前だけど本当に申し訳ない。私はいいのだ……私はこんな人間だから、多少アレな風呂でもまあ入れないことはない。しかし彼女は掃除を仕事にできるくらいの真っ当な感覚の持ち主である。恐ろしい。犯した罪の重さが背中にのしかかる。免罪符だって流石に4700円なんて端金では売ってもらえないだろう。世が世なら磔刑ものである。

家事代行の仕事が終わる時間の殆どを、私はこの文章を書くことと、懺悔の時間に当ててしまっている。こんなにひどい仕事を安価に人にやらせてその間に走れる古戦場などない。

(余談だが、家事代行を探してる間に「古戦場周回可能です」という人を見かけてびっくりした。その場合は周回の負担にならないレベルのパーティを用意しなければいけないのか?と気になってしまっている)


家事代行…なんと恐ろしい文明…と戦慄していたが、サイトをよく見たらサービスは2014年からあるとのことだった。まだ私が転職してペーペーの社畜をしていた頃ではないか。これは文明の発展によって近年生まれたものというわけでもなく、情報にアクセスする力を持ったものだけが知れる力だったのだ。1日を仕事とソシャゲとツイッターだけに費やしていた私ではたどり着けなかったかも知れない。


お試しは2時間4750円、普通に依頼するにしても1時間2500円である。ガシャとか召喚とかを1回断念すれば快適な暮らしに近づくのだ。オデュッセウスもディオスクロイも恒常だ(断念した)。しかも掃除は確定である。銀人間とかにならない。

私のような「本当に生活能力がない無能な社畜ソシャカス」の方には是非オススメをしたいが、まずその前に、私のこれを読んでいる人たちはそんなに無能では無いと思うので、この文章はただ「私はこいつよりマシだ」と読んだ人に実感させるだけの文章になるだろう。存分にガシャを回して欲しい。

 

今回お願いしたのはこちら。

https://casy.co.jp/trial

本当に申し訳ありませんでした……。今度は死ぬ前に依頼しようと思います。